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-自分の足りていないところを作品で埋めて、なんとか人としてなり立ってる-

シンガーソングライター・杉本ラララ
インタビューVol.2

Text by ノビス内藤 (@nobis2017) Jul 30, 2019

前回の記事では、杉本さんがギターを手に取った理由、「杉本ラララ」という名前になった経緯についてお話を伺いました。

(前回記事「もしあのタイミングで家にギターがなかったら、音楽のことは忘れていたかも知れない」

今回は、そんな杉本さんが、日々どのように音楽と向き合い、新たな音楽を生み出しているのか、詳しくお話を伺いました。

我ながら何やってるんだろうと思いながら歌っていました


前回は「杉本ラララ」が誕生するまでのお話を聞かせていただきました。高校の時にQueenをアコギで演奏していたお話は結構衝撃的でした(笑)
杉本さんが東京に来られたのはいつですか?


大学入学の時に上京したので18ですね。 地元のデュオは解散して。
解散っていうほどしっかり活動もしてなかったですけど。


上京してからはすぐ本格的に活動を開始されたんですか?


いや、大学で軽音サークルに入って、音楽を遊びでやりつつ、だらだらした日々を過ごしていました。結局大学は中退したんですけど、サークルにはそのまま入り浸っていました(笑)
ふとした時にこのままじゃだめだなと思って、当時住んでいた戸塚駅前で小さいアンプを買って路上を始めたんです。確かそれが23歳だと思います。


路上ライブは1人でやっていたんですか?


はい、1人です。もう本当に震えました。アンプとか置くときも手が震えてたのを覚えてます。


お客さんは誰か立ち止まってくれましたか?


全然立ち止まってくれないです。
我ながらなにやってるんだろうと思いながら歌っていました。

それでも1日6時間くらい路上ライブをやっていたんですよ。そうするうちに、1人、2人と立ち止まってくれるようになって、その人たちが応援してくれるようになって、ちょっとずつ「良い」って言ってくれる人が増えていっったんです。

その中に「良いライブハウス知ってるよ」と誘ってくれた人がいて、渋谷La.mamaのオーディションを受けに行ったのがライブハウスに出演するようになったきっかけです。


本当に路上がルーツなんですね。
最初からライブハウスに出る人も多いですが、そうしなかったのはなぜですか?


路上以外にやり方を知らなかったからです(笑)
とにかく何かしなきゃダメになっちゃう!という思いだけで路上ライブをやっていたように思います。


そこから10年ちょっとたって、その当時思い描いたアーティストになれていますか?


なれてないですね。まだまだこれからです。色々環境の変化もあるので、今後は活動の仕方も変えていかないといけないなと思っています。



杉本さんの人間的な抜け具合と音楽に対する信念の貫き具合のギャップが最高に面白いです。音楽をそこまで人生の中心に据えられるのってスゴいなと思います。


いやいや、ぼくからしたらNobbyさんみたいに色々やってる人はスゴいなぁと思います。僕がインタビューしたいぐらいです。


どう返していいかわからないけどありがとうございます(笑)杉本さんってどういうときに曲ができるんですか?


もともとぼく、鬱体質って言うか、気持ちに波にがある方なんですよ。

そうやって気持ちが落ちてるときに音楽を作って、それと共に気持ちが上がっていく、みたいな感じです。

だから、僕と同じように気持ちが沈んでいる人たちの原動力になれたらいいな、と思いながら作った曲を歌っています。


そもそもは自分を救うために曲を書く


杉本さんの曲って、王道のポップスと言うよりはかなり変化球で、「アイスクリーム」みたいな曲は歌詞もすごかったりするんですよね。ただの変態なんだと思うんですけど、どうやったらああいう歌詞が書けるんですか?

YouTube-「アイスクリーム / 杉本ラララ」


あの歌詞は自分自身のありのままを書きなぐったというか、さらけ出すことの大切さを知るきっかけになった曲でした。
ちょうどその時にノビちゃん(ノビス)と出会ったんだよね。

ああいう世界観の強いものをうまく撮れる人をちょうど探していたので、ノビちゃんとの出会いはとてもありがたかったです。


僕からすると杉本さんっていう人間が全然読めなくって。本当はどういう人なんだろう、っていつも思いながら撮ってます。


気持ちが沈んでいるときと上がってるときの差が激しいっていうのが、理解にしにくさに繋がってるのかも知れませんね。


杉本さんが曲を書くときは、気持ちが大きく振れたときなんですね。


プロとしてはもっとコンスタントにできないといけないと思うんですけど、そもそもは自分を救うために曲を書いている感じなんです。

以前精神科に行ったときに、鬱が治る治療法を試してみたいかと言われたことがあったんですが、ひょっとしたら鬱を治しちゃうと芸術性がなくなっちゃうかも知れないと思ったんです。

変な話ですけど、気持ちの揺れというか、そういう葛藤の中で作品が生まれることが多いので、鬱は武器なのかも知れないと思ったんですよね。

鬱の気持ちを大事にしないといけない、それをありがたいと感じていなければならないと思っています。


人間としての不完全さを埋めるのが音楽っていうかんじですか?


そうですね、自分の足りていないところを作品で埋めて、なんとか人としてなり立ってるなって思っています。


自分が精神的にどれだけ辛い時でも、お客さんに対しては常に正直でありたい


杉本さんが音楽活動をする上で、こだわっていることはありますか?


僕の音楽は、お金を出して観に来てくれたりCDを買ってくれたりする人に支えてもらっているので、自分のライブや作品に手を抜いてはダメだという軸を持っています。

だから自分が精神的にどれだけ辛い時でも、お客さんに対しては常に正直でありたいと思っています。


そういう正直さって、徐々に伝わるとおもいますし、お客さんにとっても嬉しいことですよね。

ところで、ずっと気になっていたことを質問してもいいですか?


恐いなぁ・・・なんでしょう?


なぜ髪の毛を白くしているんですか??


そこまで深い理由じゃないんですが。
実は僕自身が人の顔をなかなか覚えられないタイプなので、パッと見て覚えやすいという意味でこの色にしたんですよ。

あと、玉置浩二さんにちょっと憧れたというのもあります(笑)


杉本さんってほんとに突然行動を起こすんですよね。僕が映像を撮るぞという日の直前になって髪型を変えたり色を変えたり。まわりの人はほんとびっくりしてると思います。


いつも周りのみんなには迷惑をかけているな、という自覚はあります・・・


最後に、今目標としていることを聞かせて下さい。


とにかく目の前のお客さんに満足してもらうことです。それを毎日毎日やっていった先に大きな会場でのワンマンとかそういった物があると思うんです。


杉本さんの演奏を大きなステージで聴くことがでできる日を楽しみにしています!
今日はありがとうございました!


「自分が精神的にどれだけ辛い時でも、お客さんに対しては常に正直でありたい」

人気商売と見られがちなミュージシャンですが、第一線で活躍するアーティストが共通して口にする「正直である」ことの大切さを、改めて認識させてもらったインタビューでした。

これからさらなる大舞台を目指して進んでいく杉本さんを、今後もウォッチしていきたいと思います。

Edited by DJ Nobby (@787nobby)
Make Up by 比屋根リサ (@hiyanelisa)
Text / Photo by ノビス (@nobis2017)